軽貨物回想録｜真面目すぎて社用車でデートする男

軽貨物の世界には、配送の腕とはまた別に、“人間として面白すぎる人”が必ず数名、存在する。

本日紹介するのは、当社が誇る“真面目天然”のエース——安田くんである。

下町スナックでの奇跡

繁忙期が終わり、翌日は全員オフ。

たまにはいいか、と会社メンバーで近くの下町スナックへ行くことになった。

ただ一人、安田くんはお酒が飲めない体質。

しかも、話し下手で、真面目すぎるくらい真面目（言葉選びが雑で申し訳ない）。

でもその日、彼は明らかにご機嫌だった。

「……今度、あのスナックの方と、焼肉に行くことになりました」

おお、やるじゃないか安田！
なんか報われた感じして、こっちまで嬉しくなる。

そして翌日、Zoomミーティングで事件は起きた

その日は休日だが、午前中だけ社内のオンラインミーティング。
休みなのに、安田くんはiPhoneから参加してくれていた。

画面が繋がり、彼が一言。

「すいません、今運転中で…このままでいいですか？」

「いやいや、危ないから無理しないで」
そう伝えた瞬間、ガチャガチャと携帯が落ちる音。

そして映し出されたのは、うちの社用車の車内。

「あのー安田くん？まさか、休日出勤？」

「いえ、違います。……プライベートです」

えっ！？　安田くん、それ社用車ですやん。

そしてもう一度、ガチャッと携帯が落ちた。

そこに映ったのは、昨日のスナックの女性。

社用車でデート、真面目な男のやることか

安田くん、君は誠実だし、仕事も丁寧。
でも、社用車でデートはちょっと違うぞ。

その後、彼が何もなかったように会議に戻ってきたのが、逆にジワジワきた。

発煙筒への怒りと、天然の極み

また別の日。彼と同乗で高速道路を走っていると、突然怒り出した。

「あんなタバコ、路上に捨てるなんて信じられません！」

いや、安田くん、あれ発煙筒ね。

そしてスナック女子には…

その後、彼はその女性に振られた。

理由は言わなかったが、なんとなく分かる。

だってデートが社用車（軽バン）だったんだもん。

……僕たち、軽貨物配送会社なんだから、仕方ないよ。

次こそは、SUVで迎えに行けるように頑張ろうな。

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財布は忘れる。PASMOは冷蔵庫にある。社用車でデートへ行く。

でも、それでも任せられる人たちがここにいます。
だって私たち、「人で届ける」会社ですから。

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